去る、令和元年5月27日(月)、加古川経営者協会 令和元年定時総会終了後、加古川経営者協会・加古川商工会議所・(一社)神戸経済同友会東播部会の共催による経営講演会を開催しました。講師には㈱ホテルニューアワジ代表取締役社長 木下 学氏 をお招きし、「地域と共に歩むホテルづくり」を演題に、82名の参加者による開催となりました。
【講演内容】
ホテルニューアワジの沿革のお話しから、昭和28年母方の祖父母が民宿を始めたのがスタートで昭和41年にホテルニューアワジに改名、昭和51年に淡路島グランドホテル買収。その時は大鳴門橋開通、リゾート法成立、明石海峡大橋工事着工等、淡路島を取り巻く環境は大きく変わろうとしていた。
平成5年に12階建て「夢大地」誕生(131室750名収容)となる。料理にこだわりを持つことで、旅行社の評価を上げることに専念し、団体集客へ営業展開する。しかし平成7年淡路島を震源とする阪神・淡路大震災が発生、その後の3年間は非常に厳しい状態でした。平成10年明石海峡大橋開通・平成12年淡路花博開催により淡路に賑わいが戻った。
しかし、架橋効果で宿泊者減、日帰り旅行者の増加、団体旅行や海水浴客の減少により、業界を取り巻く環境が変化していた。そのころ業界では団体旅行隆盛時代からの脱却が進まず、経営破綻する旅館が増加しました。旅館、ホテル業界に厳しい環境となりつつあるなか、平成10年~平成20年のホテルニューアワジの取り組みは、淡路島の伝統ある洲本温泉の灯りを消してはならない使命感を感じ、その再生にエネルギーを注ぎました。
その中で再認識したのは地域に根差す旅館、その魅力を活かした宿づくり、お客様の視点に立ち、若い方から3世代のご家族、カジュアルからラグジュアリーまで、1館1館のコンセプトを明確に打ち出しながら新ブランドを立ち上げました。
そして都市近郊リゾートとして都会にお住まいの方々が、複数回気軽にお越し頂けるような地域ブランドを作ることでした。また、いち早くインターネット予約の取り組みも採用。その結果、淡路島での実績を評価いただきました。
平成20年~平成31年、各地からリニューアル経営への依頼をいただき淡路島外へ進出、その数14施設(神戸、四国、岡山、京都)、神戸の「神戸ベイシェラトンホテル&タワーズ」の買収では、神戸地区のホテルで初めて温泉をつくり、世界のブランドシェラトンの安心感と日本旅館の良さの両方を感じ・味わえるホテルとした。
また、岡山県津山市の「ザ・シロヤマテラス津山別邸」では当初現地の状況よりお断りしようと思っていましたが、地元企業、市、商工会議所等、方々の地元思いの熱意と手厚い支援を受け、営業を決断しました。今では当初売り上げの倍、しかし、地元の方の利用(宴会等)が8割、観光客は休日利用が主で2割となっていて、新たな観光資源の創出でリピーターを増やしていきたい。再生のキーワードは「地域の中で果たすべき役割は何か」「何を味方につけるか」「お客様に寄り添う」を大切に進めている。
木下社長がホテル経営で大切にされていることは、一つ一つのホテルが地域に密着し、お客様に寄り添い、お客様お一人お一人のニーズを見極め、実行する。そのためには、人財の大切さ、人財の確保、各種セミナーでの人財育成が重要。社員に寄り添い社員に考えを共感・共有してもらい、社員が一人一人個別に対応し、ホテルのもつ特徴を最大限に活かし、あるべき姿に向かって評価を上げていくことが重要とのことでした。
最後にホテルニューアワジは多くの人に愛されるホテルづくりをこれからも進めていきます。と締めくくられました。
<株式会社ホテルニューアワジ代表取締役社長 木下 学氏>
<講演会場は満席>